ファームウェアのアップグレード、教育プログラムやサポートのプログラムなど サイバー攻撃への備えに非常に力を入れて成果を上げているAxis

研究開発に多額の投資を行うことにより、世界初のネットワークカメラ、ビデオエンコーダ、HDTV、サーマルネットワークカメラを含め数多くの業界初の製品を開発してきたAxis Communications ABの共同創業者であり2015年にスウェーデン産業への著しい貢献によりスウェーデン国王から叙勲されたことをはじめ、多くの受賞歴を持つマーティン・グレン博士(Dr. Martin Gren)に“アクシスの強み”、“サイバー攻撃に対する取り組み”、“今後のビジョン”などについて取材した。
== 御社の強みをお聞かせ下さい。

マーティン・グレン博士 弊社は、“ネットワークカメラを初めて世に送り出した会社”、“パートナー様のビジネスをすすめている”“自社で開発しているチップセットのおかげで非常に強力な性能を持っている”“今一番HOTな話題となっているサイバー攻撃への備えに非常に力を入れて成果を上げている”“色々な機能や用途に応じて、非常に広範囲、おそらく業界一の豊富な製品ラインナップを提供している”など多くの強みを持っております。

== サイバー攻撃に対する取り組みについて、詳しくお聞かせ下さい。

マーティン・グレン博士 特にサイバーセキュリティの重要なポイントの一つとしてファームウェアのアップグレードがありますが、弊社では製品の保証サポートとして販売終了から最低でも5年間アップグレードをする保証をしております。それによって、長期にわたってサイバー攻撃を防御することができます。さらにそれを拡大するものとして教育プログラムやサポートのプログラムも提供する他、認定プロフェッショナルとして、教育技術レベルの成果を公に証明する制度も用意しております。

== サイバー攻撃からの防御は日本でも話題になってきていますが、業界としての動きでみるとまだ共通の認識が無いように思われます。ユーザーの中にはクローズドな環境やIPでない映像監視など、ネットワークに接続されていない環境を使っていれば心配ないという動きも見られますが?

マーティン・グレン博士 カメラというよりもレコーダ(録画機器)に危険性がみられるという意味では、IPカメラ・アナログカメラどちらも危険性に違いはないとみております。1年半ほど前にMirai(ミライ)ボットネットが猛威をふるい、監視映像システムを含む多くのネットワーク機器が被害にあったり、あるいは踏み台にされたりしたことがありましたが、攻撃の対象として一番多かったのは、DVRとよばれるアナログカメラを接続するレコーダーでありました。アナログ方式といってもレコーダー側にネットワークのポートがある以上は、ネットワークの攻撃を受けてしまうことになります。不幸なことにそれらのDVRはパスワードが、固定で設定をされており、それが流出することによって誰からでも簡単にみられてしまう。あるいは、のっとりができてしまうということが起こっています。それによって、被害が拡大してしまったという側面は見逃せないところだと考えております。
このことは、アナログだから安全だということはない、ということを証明するひとつの大きな例として挙げられると思います。

== 他社と比較して、御社のサイバー攻撃からの防御の取り組みの違いは?

マーティン・グレン博士 他社と比べた場合、私どもが持っている特長としては、オープンであるということがあげられます。弊社のコアバリューのうちのひとつである“Always open(常にオープンであること)”との原則に基づき、様々な情報においても、パートナー様の参画に対してもずっとオープンでいたということで、特定の企業だけと付き合うのではなく常にオープンに広く門戸を開いているということが特長であると考えております。2年半ほど前に脆弱性がひとつ発見されて、アップデートしなくてはいけなくなった時にその成果がでたのではないかと考えております。脆弱性そのものは、世の中に公表されているものではありましたが、脆弱性を発見した会社ともオープンな関係を持っていたがゆえに、すばやく情報を得ることができ、適切な対応をいち早くとることができたということがあります。
一般的には、セキュリティ機器はそうした部分を秘密にしておきたいことがところがあるものですが、私どもは、あえてオープンしていることで、事態が発生したときに適切な対応をとれるようにしております。また、電子証明書をカメラの中に入れられるようにもしております。機能的には、自己証明書を入れていただいて、その上で、サードパーティの電子証明書をご自身で取得していただくというのが今の仕組みとなっております。弊社では、証明書の出し入れを行うためのAXIS Camera Managementというツールを長年提供しております。カメラ一括で、証明書のインストールや更新が行うことが出来るというのが特徴です。AXIS Camera Managementというツールは、昨年AXIS Device Managerという名前に変わりまして機能も大きく変わってきました。カメラだけではなく、スピーカーだとかドアステーション、ドアコントローラーといったAxisのネットワーク機器全般を管理するためのものということで名前を変えております。
カメラに標準で電子証明書を入れて販売する際には、「市中在庫として存在している間の期間がムダになってしまう。」「証明期間が切れてしまったものを販売してしまったときにどう対応するのか?」の問題も指摘されております。そのような観点から弊社は、必ずしも標準搭載しているからいいとも言い切れない、とみております。
私どものファームウェアもソフトウェアも常にアップデートしております。ビデオ管理ソフトウェアのAXIS Camera Stationは2週間ごとにアップデートしております。不具合の修正も含めてですけれども脆弱性があった場合も同じようなサイクルでアップデートしております。もちろん2週間の間に何か緊急のものがあった場合はそれにかかわらずリリースするのですが、普段からそのくらいの頻度で取り組んでおります。

== 今後のビジョンについてお聞かせ下さい

マーティン・グレン博士 まず一番に上げられるのは、オーディオ製品です。色々なビルにスピーカーがあるのですが、現在は、アナログの線がひかれています。これをネットワーク化することで、ゾーニングが可能になり、たとえば、BGMやアナウンスに使うのももちろんですし、デパートやスーパーマーケットのようなところで、タイムセールなどをする場合、ある特定の場所だけアナウンスするなど、より細かくコントロールすることができるようになるということが大きなメリットとして挙げられます。スケジュールを決めて音を流すことが出来るので、たとえば、オフィスであれば、12時とか5時など、学校であれば、お昼の時間や帰る時間に流すことも出来ます。すでにネットワーク化されたオーディオ製品も他に見かけますが、弊社では、映像監視のシステムの中に完全に統合・組み込むことが出来るということが一番の違いです。同じ管理体系、同じプラットフォームの中で使うことができることです。つまり、利用者からみると、違うシステムを新たに使いこなすのではなく、今まで使ってきているAxisのビデオ管理システムをそのまま使い続けながら、音声も使うことができるのです。応用例としては、ホーンスピーカーが非常にわかりやすい例ですが、映像を見ながらそこに怪しい人物が来た時に「あやしくみえるから立ち退きなさい」など映像を見ながら音で警告をすることが、映像と同じシステムの中でできますよというのが大きなメリットになるのではないかと考えています。
現在、インターフォン型のドアステーション2製品を提供しておりますが、こちらも同じで、音声機能が中に入っているので、来訪者の方と会話できる機能が、カメラと一緒に入っており、AXIS Camera Stationでビデオ監視システムと一緒に管理することができることがポイントとなっています。

== SECURITY SHOW 2018でも、ネットワークカメラを利用した各種映像分析とネットワークスピーカー、ドアステーション、アクセスコントロールが連動するソリューションの数々が今回の見どころのようですね。では、グローバル市場の拡大と日本市場に期待することをお聞かせ下さい。

マーティン・グレン博士 グローバルにおいて、映像監視市場は何年も、毎年前年比10%以上成長しているというのは、マーケット調査会社から言われているところであります。私たちも、事業の成長を確実に市場の成長に合わせて、あるいは、上回って成長し続けておりまして、おそらく今年もそのグローバルなマーケットの広がりは続くと思いますし、私たちもそれにあせた事業拡大成長を行おうとしております。

== 日本市場について何かございましたら…

マーティン・グレン博士 日本は世界でかなり洗練された市場のひとつであり、非常に要求の厳しいお客様が多いという市場であるとも認識しております。私は、日本のお客様と30年以上お仕事をしております。日本法人であるアクシスコミュニケーション株式会社も開設して24年を数えます。日本市場を意識して開発した製品もあります。東日本大震災の年に発売したAXIS M50シリーズも、日本市場に特に狙いを定めて開発をした製品のひとつです。このAXIS M50シリーズは、昨年11月にCANON様と共同開発で、AXIS M5054 PTZ ネットワークカメラ という新バージョンもリリースしました。
日本のお客様に鍛えられてきたことも大きいかなと思っております。日本市場でのビジネスを続ける上で、そういった声にきちんと応えていくことが重要だと考えております。

== 研究開発に重点をおかれている御社が発表する新製品・新サービスのリリースに期待いたしております。本日は、ありがとうございました。

アクシスコミュニケーションズ(株)
https://www.axis.com/jp/ja