防犯設備機器に関する市場動向と推定市場規模

(公社)日本防犯設備協会 統計調査担当部長
平山 国明氏

犯罪情勢の推移
 警察庁のデータから、わが国における刑法犯認知件数は、ピーク時(平成14年の285万件)から減少し続け、平成28年では100万件を切り、平成29年には更に戦後最少を更新し、前年比8.1%減(約8.1万件減)の91万5,042件となっている。これは、官民一体となった取り組みや、「防犯性能の高い建物部品」、防犯カメラの増加などが実を結んだ結果と思われる。しかし、報道においては、未だに児童虐待やストーカー事案、配偶者からの暴力事案等が多発しており、振り込め詐欺を始めとする特殊詐欺の平成29年の被害総額は390.3億円(暫定値)と3年連続で減少したものの依然として高水準となっており、また、ランサムウェアやビジネスメール詐欺などの新しいサイバー攻撃もあり、サイバー空間における脅威もますます深刻化し、犯罪の情勢は依然として予断を許さない状況である。
この様な中、公益社団法人日本防犯設備協会においては、同協会の中核事業の一つである防犯設備士の育成については、全国の登録者数が、昨年累計で27,000名を超え、同認定試験が100回(25周年)を迎え、また総合防犯設備士は累計で367名(平成30年2月現在)となっている。また、全国に防犯設備関連の地域協会も39都道府県に設立され、防犯相談、防犯診断、防犯セミナー等、各地で活躍していただいており、ますます頼れる存在として認知度が向上してきている。防犯カメラ等の防犯設備機器の進歩・発展には著しいものがあり、当協会は、これまで同様、新たな時代の潮流を見定め、会員の皆様や関係機関・団体と協力して、安全で安心なまちづくりに貢献するための活動を推進して行く。

防犯設備機器の市場動向
 前述の通り、最近の犯罪情勢としては一定の改善が見られるものの、子供や一人暮らしの女性を狙った犯罪や、高齢者を狙った振り込め詐欺、インターネットに係わるサイバー犯罪など、犯罪が凶悪化、複雑化、多様化してきているとともに、地域によっては、侵入窃盗、居空きなどが増加傾向にあるなど、日常生活における防犯対策の重要性は高まっている。
我が国では人手不足対応の設備投資や2020年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会を控えたインフラ投資が継続し、底堅い回復基調が続くことが期待されるが、北朝鮮情勢の緊迫化や米金利上昇など不安定要素は尽きない。一方では、ドライブレコーダーの性能向上に伴う、盗難抑止、移動防犯カメラとしての新たな活用や、IOTやAIなどの新技術や新しい社会潮流に適応した防犯設備機器も必要になって来ており、防犯設備業界としても関係機関・団体と連携した全国での安全・安心なまちづくり推進への貢献がますます重要になってきている。

平成29年度統計調査報告から
 日本防犯設備協会における防犯設備機器に関する統計調査は、会員会社に対するアンケートを集計し、それに基づき国内市場を予測するもので、基本的に毎年同一の基準で実施している。
平成28年度実績ベースの防犯設備推定市場(売上金額規模)は、平成23年度に9,878億円まで落ち込んだが、その後平成25年度は1兆1,238億円、平成26年度は1兆1,956億円、平成27年度は1兆2,153億円、平成28年度は1兆2,540億円と順調な回復を見せている。前述の北朝鮮情勢の緊迫化、中国の景気失速など不安要素はあるが、我が国では人手不足対応の設備投資や2020年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会を控えたインフラ投資が継続し、底堅い回復基調が続くことが期待される。
機器関連(製造業)における防犯関連事業の推定売上高は、平成28年度実績ベースで5,473億円と前年度の5,471億円の100.0%と横ばいとなった。品目別では平成27年度より前年割れとなっていた「生活情報システム」、「一般防犯機器」でプラスに転じ、逆に「侵入者検知器」「監視装置」「出入管理装置」、「映像監視装置」は前年割れとなった。また、昨年度から新たにアンケート項目に加えた「振り込め詐欺防止装置」は、(公益財団法人)全国防犯協会連合会でも平成29年4月から「優良迷惑電話防止機器推奨事業」(優良防犯電話)を始めている。これは、あらかじめ電話機等に通話内容を録音することを告げる機能や相手先番号を要求する機能を付加するなど高齢者が簡単に設置できるようにしたもので、平成29年12月20日現在26品目になり、警察庁でも広く普及を促進しているものである。
当協会では、防犯カメラ、デジタルレコーダを対象にRBSS(優良防犯機器認定制度)を平成20年からスタートし今年で10周年を迎えており、累計の認定型式数は、防犯カメラ448型式、デジタルレコーダが162型式となっている(平成30年2月現在)。平成26年度からは、LED防犯灯に関してもRBSS認定制度をスタートしており、既に122型式となっている(平成30年2月現在)。今後も一層の優良防犯機器の普及に努めたい。
施工業における防犯関連事業の推定売上高は、平成28年度は771億円となり、平成26・27年度実績と同等の結果となった。引き続き、新築戸建住宅や、賃貸アパート等においても、防犯ニーズは高まっており、今後の防犯性能の高い建物部品(CP建物部品)の普及による防犯機器販売、施工業の伸びにさらに期待したい。
機械警備業における平成28年度の警備受託の推定件数は、前年比104.3%と引き続き堅調であり、警備料収入も106.5%となった(6,296億円、382億円増加)。これらは、昨今のストーカーなどの凶悪犯罪、外国人窃盗団の犯罪などから来る体感治安の状況を反映していると思われる。
以上 防犯設備機器の統計調査に関する昨年までの市場動向を述べてきたが、昨今の犯罪の多様化を見ると、今後も様々な技術革新によって新たな犯罪が生まれることも考えられ、これらに対応する防犯設備業、防犯設備士などへの期待は引き続き伸びてゆくものといえよう。

(公社)日本防犯設備協会
http://www.ssaj.or.jp/