防犯カメラも、エコを考える時代に来ている。防犯カメラが世間の認知度を深め、設置台数も相当数を数える時代となった。24時間365日稼動する防犯カメラが電力を消費することは当然のこと。しかし、カメラを設置する事の有効性については語られても、その消費電力を抑えることに注目している人がどれだけいるだろうか。TOAでは、省電力カメラ「CVカメラシリーズ」を打ち出し、環境問題が注目されている昨今において社会貢献を目指す。TOA潟Zキュリティ開発本部プロダクトマネージャー横山昌明氏にお話を伺った。
定電圧方式により約66%の消費電力削減の効果 −− 省電力カメラCVシリーズとは、どのようなものですか。
横山 現在、同軸ワンケーブル方式の防犯カメラには定電流方式と定電圧方式の2種類があって、今のところ定電流方式が主流といわれています。 遠く離れた場所に設置されたカメラは、それだけ大きい電力供給が必要となります。 定電流方式は長距離まで必要な電流を供給することができますが、定電圧方式は今まで長距離の映像伝送ができないために、近距離専用と言われていました。 ところが、技術革新によって定電圧方式でも定電流方式と変わらない長距離の映像伝送を可能としました。 TOAでは、防犯カメラはこれから省電力の面でも注目されていくだろうという時代に合わせて、両方式を販売していくことにしました。
我々が特にPRしているCVカメラシリーズは、従来のカメラよりも電力を消費しない方式の製品です。 当社の定電圧方式、定電流方式のカメラを比較致しますと、従来の定電流方式のカメラだと17.4Wの消費電力であるのに対して、定電圧方式のカメラだと5.6Wの消費電力で済みます。 これは、消費電力を約66%削減、つまり約1/3で済むことになります。 実際に触って頂いてもわかるのですが、定電流方式のカメラの本体は熱を発しているのがわかりますが、定電圧方式のカメラの方は、本体を触ってもほとんど熱くありません。 いかに電力消費が抑えられているかがお分かりいただけると思います。 また前述の通り、距離に関しても、定電圧方式では短距離での伝送を余儀なくされていましたが、当社製品も500m先であるとか、長距離でも設置ができるように改良を重ね、距離が足らない分を対応できるようになりました。
東京ドーム約900個分の面積の植林にも相当  −− 具体的には、どのような省電力の効果が見込めるのでしょうか。
横山 例えば、現在全国98万台ある交通信号を白熱灯からLEDランプに取り替えたとすると、75Wから20Wへの電力消費の大幅削減、17万9000トンのCO2削減という効果が
生まれると見込まれています。 同様に、現在全国で稼動している防犯カメラ約330万台のうち、定電流方式のカメラを定電圧方式に取り替えたとすると、2万6000トンのCO2が削減できるという算出結果が出ています。 これは4208ha、東京ドーム約900個分相当の土地への植林と同じ効果があると言われています。 またこの2万6000トンという数値は、交通信号をLEDに取り替えて削減できるCO2量の15%に匹敵します。 少
なく見積もってこの数値ですから、省エネにかなり貢献できる数値だということができます。 具体的に、オフィスビルを防犯カメラ16台で見守った場合について計算をしてみますと、従来のカメラシステムの場合が200W、CVカメラシステムの場合が70Wの消費電力となります。 この場合の年間消費電力差は、1,139KWh/年となります。 これをCO2の排出量に換算しますと、
502kgの排出削減が可能となり、65%の削減を実現していることになります。 これは、杉の木36本が1年間でCO2を吸収するのに匹敵するの です。
また同時にCVカメラは非常に経済的でもあり、同様にカメラ16台の場合で計算すると、従来型のカメラで年間電力料金量が約37,000円かかるのに対し、CVカメラの場合は約13,000円、年間で約24,000円の差額が発生することになります。 このような数値を見ていただければ、いかにCVカメラが省電力、エコに貢献できるか、また経済的であるかがお分かりいただけると思います。 ユーザ側の立場にとっても、オフィスビル内でのエコに対する意識は相当高まっていますし、また各企業内でもコスト削減ということが叫ばれている時代です。 そのような環境に配慮する時代だからこそ、貢献できる製品ではないかと思います。
−− 現状として、業界またはユーザの、「セキュリティとエコ」についての認識はどのような段階にあると思いますか。 横山 ユーザに限らず業界としてまだ気付いていない、本腰を入れていないというのが現状だと思います。 この数値の意義であったり、防犯カメラも方式によって省エネに貢献できるんだ、ということが結構曖昧になっているような状況ではないかと思います。 また、この方式変更は非常に大変なので、各社とも躊躇される可能性はあると思います。
今定電流方式のカメラを使用しているユーザさんが、取り替えの時期に来たとして、定電圧方式カメラが1/3の消費電力で良いということを知ったならば必ずこちらを使用されると思います。 社会情勢を鑑みても、地方自治体がCO2削減を
義務づけする動向もあり、そのような時代になってきていると考えます。 実際にこれだけ削減できるという数値を見ていただければその効果が十分お分かりいただけると思いますし、これからはセキュリティもエコを考えていかなければいけない時期に来ています。 TOAとしてはこのCVカメラシリーズをどんどんPRしていきたいと思っています。
ネットワーク化の時流で「エコ」も重要に −− ネットワーク化の動きの中でも「エコ」というのは非常に重要な概念になってきますね。
横山 今後、ネットワーク化によって「セキュリティとエコ」という概念がさらに求められてくると思います。 現状防犯カメラもネットワーク化の最中にあって、アナログからネットワークへと変わっていこうとしています。 となると、アナログカメラよりネットワークカメラの方が電力消費が多いわけですから、CO2の排出
量が多いわけです。 従って、アナログ以上にネットワークの世界でも省エネについては考えていかなくてはならない。 現在、ネットワークの側では各ベンダーがサーバやハブの省エネにかなり取り組んでいます。 ネットワーク側の方でそのような省電力化の動きが進んでいっても、カメラ側で省電力化が進んでいなければ、現状と同じ事です。 ネットワーク側だけではなくて、カメラ側も省エネ対策というものをしておかなくては、いざ対応しようと思ってもなかなかできるものではありませんし、省エネに注目が集まっている時流に取り残されてしまう結果になってしまいます。 そういった面でカメラ業界もエコに貢献をしていかなければならない時代を迎えている、まさに「セキュリティとエコ」を考えなければならない時期に来ているのではないかと思いますね。 TOA http://www.toa.co.jp/
月刊「安全と管理」2009年5月号掲載 |